
*このページはサンタクロースについての真実を含みます。満18才未満の方は見ないようお願いします。
今年もクリスマスの時期がやってきた。
子供の頃はとてもワクワクしたものだが、今は悩みの種である。
彼女へのプレゼントをどうするのか。バッグ、ペアリング、財布。もう長く付き合っているのでそろそろネタ切れだ。それに何をあげたってあんまり喜んでもらえない。
あんなにワクワクしたクリスマスはいつの日か消え去ってしまった...
もうもらう側ではなく与える側
子供の頃はただただクリスマスが来るのをワクワクして待てばよかった。
だけど気づいたら、もうもらう側ではなく与える側になってしまった。
与える側になってみて思うことがたくさんあった。そしてわたしがまだなにも知らない無邪気なクソガキだった頃を思い出したので書いていきたい。
貧乏な我が家のクリスマスプレゼントはお菓子の詰め合わせ
わたしの実家はまあまあ貧乏だった。
といっても極貧というわけではなく、友達の家と比べると下という程度のものだったが。
そんな我が家にもクリスマスはあった。
母がスーパーで売っているようなお菓子の詰め合わせをくれるのだ。ブーツに入っているアレだ。
知らない人もいるかもしれないがアレの中身はクリスマスでもなんでもない。「キャベツ太郎」とかが入っている。「キャベツ太郎」はおいしいけど...
でもそんなのは構いはしない。本命のプレゼントは25日に起きれば「サンタさん」が届けてくれているのだから。
24日に母は「ごめんね。うちは貧乏だから...」と言ってとても申し訳ない顔をしていた。
そして25日に目覚めると「ゲームボーイカラー」がソフトと共にわたしの枕元に届けられた。
わたしは最高に喜び「サンタさん」に感謝したものだ。
もちろん後にどちらも両親が用意してくれていたことを知る。
わたしはまだサンタクロースになる準備ができていない
彼女と付き合ってはじめてのクリスマスの話をしたい。
わたしは張り切って予算を5万円用意した。アルバイトで貯めた5万というのはわたしにとってかなり大きい金額だったが恋で脳が焼け切れたのだろう。
ここでふと昔を思い出し、ダミーのプレゼントを用意することにした。お菓子の詰め合わせと本命の財布を購入。
わたしはクリスマスまで待ち遠しくてしかたなかった。彼女が驚くのが目に浮かぶ。
それに彼女がどんなプレゼントをくれるのか、期待で胸が膨らんだ。子供の時のようにクリスマスのドキドキが止まらなかった。
クリスマス当日はサプライズが大成功だった。最初はお菓子の詰め合わせだけと思わせ、財布を渡すとかなり喜んでくれたようだ。
わたしは彼女の驚いた表情にとても嬉しくなった。最高のクリスマスだ。
だけど彼女からプレゼントされたのは5000円のそこら辺の雑貨屋で買ったリュックだけだった。
クリスマスプレゼントは気持ちが大事だし、はじめてのクリスマスで5万円のものを渡すのは年齢的にも異常だったかもしれない。
あろうことかわたしはクリスマスプレゼントに10倍の金額差が出たことに不機嫌になってしまったのである。
本当に幼稚で恥ずかしいことであるが彼女と金額差で大ゲンカになってしまったのだ。といってもわたしが一方的に怒っていただけだが...
わたしはサンタクロースになる準備が出来ていなかったのである。
5万円のものをあげたら5万円分の感謝をされたかったし、5万円のものをあげたら5万円のものを返して欲しかった。
結局のところわたしは5万円のプレゼントを用意しながら何もあげる気はなかったのだ。
サンタクロースにわたしはなりたい
今ではわたしたちの世代は割り勘があたりまえになった。これはありがたい話だ。
ネットでは「おごらせたがる女子は最悪だ」といった内容が山ほどあり、それが現代の若者の大半の認識だと思う。
わたしはそういった社会の流れに身を任せてきた。おごってもらいたがる女の人はやはり好きになれない。
そういうなんでも与えられる体質の人は危険だと思っている。
だけど、もっと危険な状態に自分がある事に気づいた。
与えられない人間になってきているということだ。
おごるのは嫌だ。自分が他のことに使うお金が減るから。
プレゼントは同じ金額がいい。不公平感がでるから。
なんて卑しい考え方なんだろう。でもどんなにそれが乏しい考え方だと頭でわかっていてもぬぐいきれないのだ。それになにもかも見返りを求めないなんていうのは逆に驕った考え方でもあるように思う。
ただ、クリスマス...この日だけはわたしもかつての親のようにサンタクロースになりたいのだ。
あの日見たサンタクロースに僕たちはなれるのだろうか...
気づいたら描いていた理想の自分とは全然違うちっぽけな大人になってしまった。
今頃わたしはタワーマンションに住んでいるはずだし、ポルシェに乗っていたはずだ。だけど全然違う方向に人生は進んでしまった。
親に家を買うという約束も結婚指輪はハリーウィンストンで買うという彼女との約束も全部守れそうにない。
わたしの人生は暗礁に乗り上げてしまったのだ。
ただ、わたしはまだまだ若い。
もっといろいろなことに挑戦しなくてはいけない。行動なきところに結果はないのだから。
わたしたちの世代は先行き不透明な部分が大きい。会社の終身雇用は崩れ、年金もいづれ崩壊するだろう。
そんな中で家庭を持つということを全然想像できない。
わたしの親は貧乏に甘んじていたし、なにかチャレンジ精神を持って挑戦し続けていたわけではない。しかし企業に勤めるというのは長いマラソンを走るようなものだ。立派な二人ではないけれど今でもそのマラソンを走り続けていることを称賛したい。
その地獄のようなマラソンを親は家庭を守るために走り続けたのだ。そしてそれは世間では普通のこととされている。
親のように普通のことをすることも今のわたしにはままならないのである。
わたしはいわゆるビッグな男になりたかった。もっともっとお金を稼ぎたい。
だけどそれはできないかもしれないという考えがふと頭をよぎる。世界には勝者がいればまた、敗者もいるのだ。
もしそうであってもクリスマスだけはサンタクロースになりたいのだ。
なけなしの1万円を握りしめ、なんの見返りも求めず愛する人にプレゼントを渡せる人間になりたい。まだわたしにはその準備ができていない。
いつになったらわたしはサンタクロースになれるのだろうか。家庭を持ち無償の愛を金銭をもってして与えれる大人になれる日はくるのだろうか...
ま、そんなわけで年末ジャンボ宝くじミニ買ってきました!!無償の愛を与えられる人間になりたいんだよ。頼む当たってくれ。ドンっ