ビットコインのダメな所は全部『アフタービットコイン』が教えてくれた
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ビットコインのダメな所は全部『アフタービットコイン』が教えてくれた

ビットコインの将来性を信じる。ブロックチェーンの革新性は確かだから必ず上がる...

下落するたびにこのような言葉を目にします。

皆さんはビットコインはこのまま下落し続け終わると思いますか?それともまだまだ伸びると思いますか?

 

仮想通貨nemが盗まれ下落したとき、「ブロックチェーンは革新的な技術です。なので長期的に見ればnemは必ず復活すると思います」というtwitterのリプライを見つけました。

わたしはそれを見て「へー、ブロックチェーンってなんだかよくわからないけどすごいんだ。じゃあnemはこのまま持っておこう」とnemを放置しました。
結果は言わずもがなですが...nemはその後も仮想通貨全体の冷え込みに巻き込まれ大幅下落しました。

 

この経験からTwitterの情報だけじゃなく、体系的で信頼性のある情報が必要だと思い、5~6冊本を読みました。

そして分かったことはブロックチェーンの革新性とnemの価格上昇はイコールではないということ。

本当にバカすぎました。

 

仮想通貨界は超長期間で見れば楽観的な意見が蔓延しています。
ブロックチェーンの革新性などとのたまい仮想通貨の価格は上昇し続けるというのです。

 

本当にそうでしょうか?

その問いの答えが『アフター・ビットコイン(After Bitcoin)』にはあります。

 

仮想通貨流出は取引所の怠慢?それとも仮想通貨の欠陥?

著者の中島真志氏は日本銀行に勤務していた経験があり、通貨としてのビットコインはどうか?という点をしっかり掘り下げています。

仮想通貨が取引所から盗まれるという事件が後を絶ちません。

この時「ブロックチェーンには問題はない。取引所の怠慢にすぎない」という意見をよく見かけます。

nem大量流出事件を起こしたコインチェックの最高執行責任者大塚雄介氏は自身の著書『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』にてマウントゴックス事件について以下のように述べています。

マウントゴックスの事件は、ビットコインやブロックチェーンそのものに技術的な問題があったわけではありません。

いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン P166

 

ビットコインの価格が上昇し続けバブリーな状態になっていた時は私もこのような考え方でした。

ただ、『アフタービットコイン』ではもっと深い見方をしています。

事件の詳細をみると、たしかにブロックチェーンなどビットコインを支える技術そのものには問題はなかったかもしれません。しかし、通貨の安全性を考えるときには、通貨そのものだけではなく、流通経路や管理体制なども含めた総合的な仕組みとして考えるべきであり、仮想通貨のシステム全体としては、やはり問題があったとみるべきではないでしょうか。

アフター・ビットコイン P60

現状、取引所を通じた仮想通貨を売り買いすることがほとんどなのにも関わらず、取引所は仮想通貨を盗まれ続けています。

ビットコインやブロックチェーンそのものに技術的な問題がなかったとしても取引所が仮想通貨最大の脆弱性になっているといえます。

仮想通貨に実需が生まれれば価格は飛躍的にあがるとの見方もありますが、仮想通貨が紙幣に取って代わるには、より強固な安全性が必要不可欠です。

そして「強固な安全性をより簡単に」というハードルは高く、まだまだ解決すべき点がたくさんあります。

 

デジタル通貨発行に向け各国奮闘中

『アフタービットコイン』では中央銀行のデジタル通貨発行に向けた取り組みが詳細に書かれています。

わたしの知らないところで実証実験が繰り返され、かなりのところまで来ているようです。ただ中央銀行のデジタル通貨発行に向けた乗り越えなくてはいけない技術的な課題もしっかり書かれています。

もし技術的課題を乗り越え中央銀行発行のデジタル通貨が発行されれば、仮想通貨界は激変することが容易に想像できます。

管理主体も発行主体も存在していない仮想通貨と中央銀行という信頼される発行主体によるデジタル通貨のうち、人々はどちらの方を信用し、幅広く使っていくことになるでしょうか。生き延びる通貨はどちらになっていくでしょうか。筆者には、その答えは「言わずもがな」のように思います

アフタービットコイン P282

 

ビットコインが終わる日。本当の意味で仮想通貨がはじまる

仮想通貨市場はビットコインの価格に連動してその他の通貨の価格も動くことはご存知でしょう。

仮想通貨の王様はビットコインであり、その地位はゆるぎないものとして確立されています。

ただビットコインが決算の手段として日常的に使われるには乗り越えるべき課題があまりにも多いのが現状です。

 

星の数ほどある仮想通貨ですが実需があるものは事実上ないといえます。実需を最初に作り多くの人に広まった仮想通貨が次の王になるはずです。

それは今ある仮想通貨かもしれませんし、まだ市場にでていない仮想通貨かもしれません。

 

わたしは仮想通貨の未来の拡大にはビットコインより実需のある仮想通貨の出現が必要不可欠なように思います。

もしこのままビットコインが王様であり続ければ仮想通貨市場はニッチな投機商品の一つとして静かに終わっていくでしょう。

 

ビットコインを超えた何かが現れた時、本当の意味で仮想通貨が始まると言えます。

 

『アフター・ビットコイン』を読んで投資方法はどう変わるか

こういった仮想通貨やブロックチェーン関連本を何冊か読んでわかったことはこの先仮想通貨界がどうなるかは誰にもわからないという至極当然のことでした。

ただ、なんの根拠もない「ブロックチェーンはすごい技術!!仮想通貨は今後必ず伸びる」という言葉はあまりに危険であることがわかります。

 

今ある通貨を駆逐するような実需を兼ね備えた通貨が開発される可能性は大いにあると思います。

最近ではテレグラム(LINEのようなもの)が超大型ICOを行うなど大企業がこぞって参戦しています。

そして『アフター・ビットコイン』に書いてあるように中央銀行も実証実験を繰り返し中央銀行発行のデジタル通貨に躍起になっている状態です。

 

『アフター・ビットコイン』は特に長期目線で上がると信じ込んでいる人たちに是非読んでほしい名著です。

仮想通貨に実需が生まれたとしてもそれは今あなたが投資している仮想通貨の値上がりとはイコールではない。

今ある仮想通貨が文字通り"電子の塵"になる可能性があることを認識させられました。

 

超長期目線では上がるだろうという安易な考えに警鐘を促す...そんな本でした。

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