自動運転は恐ろしいものか
テスラモーターズ(Tesla Motors)のモデルSが「オートパイロット」の作動中に事故を起こし、運転手の方が亡くなったのは記憶に新しい。
この時、全世界の人は自動運転を恐ろしいものと感じたに違いない。
しかし、多くの人が誤解していることがあります。
テスラモーターズのEVに搭載されている「オートパイロット」は完全自動運転を実現するシステムではまだないということです。これはテスラ(Tesla)が戦略的とも言えるネーミングで大々的にプロモーションをしたので誤解している人も多いのですが、できることは「アイサイト」に毛が生えた程度のものです。
「アイサイト」にない機能としては、高速道路上をオートで車線変更する技術があります。ですがこの技術は当初新しいものではありましたが、ベンツがすぐに全く同じ機能を搭載した車種を市場に投入しました。
ですから、現在テスラの運転支援機能が他社より優位性を持っているとは言い難いです。
スバルはアイサイト搭載によって事故発生は61%減少したというデータを出しています。
つまりアイサイトを搭載しても39%の事故は防げていません。
テスラの事故は「オートパイロット」では防げない事故だったということに過ぎません。
1つ確認しておきたいのは、この事故はシステムがひとりでに起こした事故ではないということです。
現在は人と機械がお互いを補完しあう形で運転を実現しています。そしてこのような技術が事故の減少に貢献していることは言うまでもありません。
全車両に完全自動運転対応ハードウェア搭載という狂った行為
テスラの工場で生産されるモデル3を含むすべての車両に、人が運転するよりも安全性を大幅に向上することができる完全自動運転機能対応のハードウェアを搭載すると発表しました。
クルマから最長250mまで360度の視界を提供する8台のサラウンドカメラ、従来の約2倍もの距離まで物体を認識するアップデートされた12個の超音波センサーをはじめ、最先端技術が採用されたフォワード フェーシング レーダーが搭載される見込みです。
これのなにが狂っているかというとまだ完全自動運転を実現するシステムは完成してないということです。
技術者がこれだけのカメラやセンサーがあれば完全自動運転が可能だろうと予想してオーバースペック(使いきれていない)のハードを全車に搭載するということです。
普通に考えればありえないでしょう。
機能していないハードは本当の意味で無駄です。
そのハードを搭載する分コストは増すわけですから、意味がわかりません。
今までの車業界の常識から考えればね
もうテスラの車作りは他社とは一線を画すものとなっています。
良くも悪くも車を時間を掛けて作り市場に投入するといった姿勢がありません。
車は安全でなければいけない。だからこそ丁寧に車を作らなければいけない。というのが車業界全体の考え方でしょう。
ただ、テスラはまだ未成熟のまま市場に投入します。そしてデータを世界中から集めソフトウェアのアップデートという形で成熟させてきました。
その結果今まで他社が作ってきた車の何倍も安全なものを作ることに成功しているのは何とも皮肉なことです。
完全自動運転機能対応のハードウェアの搭載は完全に見切り発車。
完全自動運転機能を実現するソフトが開発できなければ前述の通りハードは無駄になります。
しかし、もちろんCEOのイーロンマスク氏は完全自動運転の実現に本気です。
テスラの完全自動運転を実現させる決意がハードウェアの搭載という狂った行為からうかがえます。
もう完全自動運転は秒読み態勢
テスラの最新の自動運転機能を使って、自宅から会社までモデルXに乗って通勤する様子を再現したムービーをテスラが公開しています。
CEOのイーロンマスク氏は事故を0にすることは現実的ではないとしています。
人が運転するよりも事故率が低い完全自動運転機能を目指すとしています。
そしてそのレベルにはもう既に近いところまできています。
まとめ
自動運転と聞くといかがわしいイメージを持つ人がまだ多くいると思います。
TOYOTAは完全自動運転はドライビングの楽しさを損ない、現実的ではないとして安全技術の開発に消極的でした。逆にスバルはいち早く自動車には安全性が第一として「アイサイト」を開発し今では他社から一歩リードしています。
そしてテスラはさらに先を行こうとしています。
交通事故では毎年何千人もの方が亡くなっています。
完全自動運転は賛否あると思いますが、人が運転するよりも安全な完全自動運転が実現すれば十分有用であると言えるのではないでしょうか。
それに完全自動運転にむけ安全技術が成熟されていき、人間と機械が補完しあう形で事故0を目指していけたら素晴らしいですね。
テスラは完全自動運転にむけAIを搭載するのではというニュースも聞こえてきます。
テスラのこれからの動向に目が離せません。
テスラと切磋琢磨して日本自動車メーカーにも頑張ってもらいたいものです。