ドラマ版『ザ・ミスト』の感想。まさかつまらないんじゃ...
映画版『ミスト』は好きですか?
私はめちゃめちゃ好きです。衝撃のラスト、最高の鬱映画として今も超有名な『ミスト』。
映画版はとにかく結末にばかり目がいってしまいがちですが、個人的には映画全体が秀逸だったと思っています。
霧の恐怖や狂信的な宗教家(ミセス・カーモディ)、物語全体に緊張の糸が張り詰めていて休む暇なくラストへ向かっていきます。
ここまでハラハラドキドキできる映画は少ないんじゃないでしょうか。
なんとあの『ミスト』がNetflixにてドラマ化されました。
映画ではほとんど謎のままだった「そもそもの霧の正体」や「アローヘッド計画」について掘り下げられるのではと思いワクワクして見たんですが...
う~ん。これはつまらないんじゃ...
謎が明かされることはない
シーズン1を全部見終わってわかったことは謎が明かされることも深まることもないということ。
そもそも『ミスト』はスティーブン・キングの同名小説が原作です。
映画版はミストの世界観をギュっと凝縮した作品だからドラマ版ではより丁寧に原作の世界観を描いてくれるのではと思ったんですが...
ドラマ版は映画版をめちゃくちゃ薄めたような仕上がりになっています。映画版では示されなかった謎が解き明かされることはありませんし、より物語世界を深めるような謎も提示されません。
これだったらドラマ版をやる意味とはなんなんだろうと考えさせられます。
ドラマ版ミストのココがダメだよ!!キャラクターが全員微妙
ミストの魅力は得体の知れない霧への恐怖だけではありません。霧によって閉じ込められるという極限状態、そしてそこから見えてくる人の闇こそが最高のコンテンツなんです。
映画がドラマになる例は海外ドラマではたくさんありますが、やはり期待するのは人物の丁寧な描写です。映画では感情移入しにくかったキャラクターや魅力が描写しきれなかったキャラクターが輝くというのはよくある話。
なのに...なぜ...
キャラクターもドラマ版では薄まってしまっています。
映画版の魅力的なキャラクターのミセス・カーモディ(狂信的な宗教家)なんて最高にうざくて、本国の映画館では撃ち殺されるシーンでは拍手が起こったなんて逸話があるくらいです。
それだけミセス・カーモディ(狂信的な宗教家)は魅力的で観客の心を揺さぶるキャラクターでした。そういったイライラするキャラクターがいないのがなんとも残念です。
ドラマ版ミストのココがダメだよ!!霧の中にいるモンスターをもっと気持ち悪くしろ!!
制作費の関係なのか、そもそもドラマ版のほうが原作に近いのかわかりませんが、霧の中のモンスターがなんだか小綺麗になっています。
映画版の昆虫やらなにやらわからない気色悪い感じがよかったのに、ドラマ版では気持ち悪さが激減しています。霧が意志を持って人を襲っているという感じもあり霧への恐怖感がかなり低かったです。
ドラマ版が別軸を提案できたとすれば「霧は人間を襲う」この部分です。ただ「霧は人間を襲う」という部分が作品全体をエキサイティングにすることはありませんでした。
映画では得体のしれないコントロールできないところが霧の恐怖の根源だったのに...
シーズン2はあるの?ドラマ『ザ・ミスト』総評
シーズン1の終わりにはシーズン2をにおわせる展開にはなっているんですが、打ち切りが決まったようです。
「アローヘッド計画」など謎が全然解き明かされていないのでシーズン2の制作を期待しましたが叶わず。
しょうがない
この一言に尽きます。これだけ面白そうな要素の詰まった作品をこんな形で消費してしまったのはもったいないなとは思いますが、やはり海外ドラマはシビアですね。スティーブン・キング原作といえども容赦なしです。
スティーブン・キング原作といえば「アンダー・ザ・ドーム」があったので嫌な予感はしていましたが...
映画が素晴らしすぎたので映画と比較してしまいがちなのですが、独立したドラマとして見るとどうでしょう。
一本の海外ドラマとしてみても手放しに面白いとは言えないですね。引きも弱いしキャラクターの魅力も薄い。「個人的に楽しめました」という人がちらほらでるレベルの作品かと思います。
これ見るならもっと面白い海外ドラマがいっぱいありますよ。でも映画好きな人は見ちゃいますよね。フランク・ダラボン監督がいかに偉大だったかを再確認できます。
参考